早川麗龍(はやかわらいと)は、今年天神学園初等部に入学した元気いっぱいの男の子だ。

 父譲りの黒髪はさっぱりとした短髪。その襟足からは短い弁髪がちょろり。制服は着用せず、紺色の拳法着を着ている。

 瞳は母譲りの碧眼。姉の花龍ほどではないが魔力を持ち、精霊とも仲良しだ。

 今のところ中国拳法に重きを置いて修業中の彼は、天神学園にいる猛者たちとの出会いを心待ちにしていた。

 そうして出会った、というか久しぶりに再会した“彼女”は。

 長い桃色の髪をツインテールにし、深海色の大きな瞳を輝かせて麗龍に笑いかけた。

「ねぇ麗龍、このビキニアーマーどう? 母上がデザインしてくれたんだよ。かわいいでしょー?」

 にこにこ笑いながらくるりと一回転したのは、麗龍の同い年の従姉、シャンリー=リザ=ユグドラシェル。

 家の複雑な事情により、兄のシオンとともに、こちらの世界では『グリフィノー』性を名乗っている。『公女殿下』と呼ばれる彼女は、正真正銘のお姫様で、そして将来の勇者でもあった。

 そんな従姉を見る麗龍は呆れ顔だ。

「なんだ、その防御力のなさそうな鎧……」

「大丈夫! ウィスプ召喚するから!」

 ぺたんこの胸を張り、そう言うシャンリー。

「鎧の意味ねぇじゃん!」

「かわいいからいいんだよぉ」

 と、お尻をフリフリ。