朝、中等部校舎。
花龍は大きなお兄さん、お姉さんたちが登校してくる中に紛れ、ひょっこり昇降口を覗いた。
いつもならば初等部の花龍がいれば目立ってしまうところだが、今日はバレンタインである。花龍と同じ目的の初等部の児童たちがたくさんいるので、特別目立ちはしなかった。
「ええと、琥珀おねーさまの靴箱は……」
おねーさまはモテモテで毎年大量にチョコを贈られている。だから日持ちのするお菓子でないと腐ってしまい、迷惑をかける可能性がある。
そのため、市販のもので量も少なめ、でも味も見た目も(花龍的に)こだわった、『KANON』のバレンタイン限定チョコ(ウサギ型の箱の中にハート型のチョコが入っている)を選んだ。もちろん、彼女が自分のお小遣いで買ったものだ。
チョコの入ったローズピンクの袋を持って歩いていると、靴箱の前にダンボールがふたつ置いてある場所を見つけた。ダンボールはすでにチョコが山のように積みあがっていた。今にも溢れそうなのに、更にチョコを置いていく生徒たちのおかげで、いくつか下に落ちてしまっている。
「はにゃ……」
おねーさまの口に入るものを不衛生にするわけにはいかない。
「後で教室に行ってみよう……」
花龍は初等部の校舎へ引き返した。
花龍は大きなお兄さん、お姉さんたちが登校してくる中に紛れ、ひょっこり昇降口を覗いた。
いつもならば初等部の花龍がいれば目立ってしまうところだが、今日はバレンタインである。花龍と同じ目的の初等部の児童たちがたくさんいるので、特別目立ちはしなかった。
「ええと、琥珀おねーさまの靴箱は……」
おねーさまはモテモテで毎年大量にチョコを贈られている。だから日持ちのするお菓子でないと腐ってしまい、迷惑をかける可能性がある。
そのため、市販のもので量も少なめ、でも味も見た目も(花龍的に)こだわった、『KANON』のバレンタイン限定チョコ(ウサギ型の箱の中にハート型のチョコが入っている)を選んだ。もちろん、彼女が自分のお小遣いで買ったものだ。
チョコの入ったローズピンクの袋を持って歩いていると、靴箱の前にダンボールがふたつ置いてある場所を見つけた。ダンボールはすでにチョコが山のように積みあがっていた。今にも溢れそうなのに、更にチョコを置いていく生徒たちのおかげで、いくつか下に落ちてしまっている。
「はにゃ……」
おねーさまの口に入るものを不衛生にするわけにはいかない。
「後で教室に行ってみよう……」
花龍は初等部の校舎へ引き返した。