「ったく近藤さんよー……」

ため息をつき呆れ顔の土方とは対照的に近藤は大口を開けて笑う。

「恋愛は困難であればあるほど燃えるものだ。トシ。」

「ここまで嫌がられても恋愛だと勘違いできるアンタのポジティブさには驚かされているよ。」

そう言いながらタバコをふかす。

「流石に俺も姉御に同情しまさァ」

「んなっ!?総悟まで!?…いいや、お妙さんはきっとツンデレなんだ!本当に好きな人に素直になれないんだな〜」

また笑い出す。それにつられて土方も沖田も頬を緩める。

近藤の笑顔には何か暖かいものがある。彼の笑顔を見る度、沖田はそう思うのだった。

ふわりと風が部屋中を駆け巡る。春の匂いが3人を包み、桜の花びらが舞い込む。

「もう春なんだな…」

土方がぽつりと呟く。

「急にどうしたんですかィ土方さん。気持ちわりィ」

「気持ち悪いってなんだ!?」

子供っぽく笑う沖田に向かって睨みをきかせる。

「いつまで経ってもムカつくガキだなてめーは。」

刀を鞘から抜こうとする土方を近藤が止める。

「こんなのどかな日にケンカするなよ」

左手は沖田の頭、右手は土方の頭に置き力強くなでる。

「あの、近藤さん。土方さん。」

「何だ?」 「どうした?」

満開の桜を見ながら沖田は穏やかに言った。

「花見。行きやせんか?」