と、ダイニングテーブルに目をやれば、山のように積み上げられた荷物が目に入った。



「董子さん・・・これ・・・」


と、その荷物を指差せば、俺からパッと離れ、董子さんは泣き顔にボロボロのなった顔をさらにはにかませて、ゆっくりと口を開いた。


「陽斗君の下着とか、今日の晩御飯・・・・・」


アッと何か思い付いた様に、椅子から跳ね上がり、董子さんは俺に箱を手渡して来た。



「これ・・・・・」



その箱を受け取り、中を確認する。
中を開けるまでもなく、それが何かはすぐにわかったけど、中身を手に取り、目の前に翳した。


「董子さん・・・どうして?」
「ウチね、固定電話引いてないでしょ。陽斗君と連絡取れないから・・・・・」



言い難そうにそのまま董子さんは俯いてしまった。
そっと頭に手を乗せて、軽くポンポンとする。


「ありがと、董子さん。嬉しいよ。」


手の中の携帯電話は、俺と董子さんだけを繋ぐ、二人だけの秘密のラインだった。