コトリ・・・・・


温めたミルクをテーブルの上に置く。
スッと伸ばされた綺麗な指先が、カップに届き、ゆっくりとその両方の手でカップを包み込む。


そのカップはゆっくりと口元に運ばれ、薄い綺麗な唇に吸い込まれるように近づいた。
ミルクはその口の中へと運ばれ、ゴクリ、ゴクリと男らしい喉へと落ちていった。



「温まったよ、ありがと。」



カップをテーブルに置き、屈託のない笑顔で私に微笑み掛ける。



「ところで、君、名前は?」
「上杉陽斗。お姉さんは?」
「間宮董子。」
「董子さん。今日はほんとに、ありがと。」



陽斗と名乗ったその男、否、まだあどけない少年と言ってもいい青年は、その端正な顔に満面の笑みを作って私にお礼を言った。