ピピピピピ、ピピピピピ、ピピ…
「う…ん…」
目覚まし時計が朝を伝える。
「おい!起きろ!学校遅刻するぞ!」
体が左右に揺さぶられる。
「学校?」
がっこう…

学校!!!

「ああああああ!」

あわてて飛び起きる。
「何で起こしてくれなかったんだよ!」
「何回も起こしたわ!ボケ‼」
パジャマをあわてて脱ぎ捨て、制服を着る。ズボンを着て、ベルトは中途半端。上のシャツはボタンは閉めず、食パンを一枚くわえ、
「いっへひはーふ(いってきまーす)」
家を飛び出す。
「気をつけろよ!」
美蘭兄が叫んだ。俺はいつも不思議に思う、なぜ、行ってらっしゃい、と言ってくれないのか。


「セーフ!」
息を切らして教室に飛び込む。
「バッチリ遅刻だ!」
頭を叩かれる。
「いて!」
「今日で何回目だと思っているんだ!鈴木!だいたいなんだその格好は!もういい!廊下に立っていなさい!」
教室から放り出された。
「なんだよ。鬼教師!」
教室からは、みんなの笑い声が響いていた。
「さっすが!海人!」一時間目、俺はずっと廊下に立たされていた。そして、やっと二時間目、教室に入ることが許された。

「えー、今から小テストを始める。尚、半分以上解けなかった奴は放課後、補習だ!」
教室がブーイングの声に包まれる。
「聞いてねよ先生!」
「言ってないからな。ほら、早く始めるぞ!」

「鬼!」

俺は、プリントとにらめっこしているだけで終わった。結果、補習という地獄行きになった。