「俺…髪染めたい。」

急に彼が言い出した。
彼は生まれてから一度も髪を染めたことがない。

わたしは「絶対ダメ!!」と反対した。
一回染めたら髪が傷んでしまう。

もう彼のサラサラの髪の毛をさわることが
出来なくなるのがとても嫌だったからだ。

「絶対認めないから!」

「美沙だって染めてるくせに」

「わたしはいいの~!」

わたしは彼と出会ったときから栗色の毛に染めていた。

「春也絶対許さないからね!
 春也のサラサラの髪の毛触れなくなったらつまんないしっ」

「美沙と同じ色がいい」

…彼はときに甘えん坊だ。
わたしの弱点をついてしまう…

「…わかった。」