雛乃「そう。我が家は代々読み方が三文字の名前を熟語にするしきたりがあるの」

綾奈「ひなちゃんのお家って広くて大きいよね。流石お嬢様!!」

雛乃「そんなにいいものじゃないわよ。高校生にもなって門限までに帰って来なさいとか、アルバイトはするんじゃないとか……ほんと窮屈で仕方ない」

綾奈「私は羨ましいと思うなぁ。大きいお屋敷に、優しいお父さんとお母さん。沢山のお手伝いさんとかわいいお洋服」

雛乃「……綾奈……」

綾奈「小さい頃からずっと一緒にいるからそれが自然だと思ってたけど、でもこうやって振り返ると、私とひなちゃんは違う世界の住人なのかなぁなんて」

雛乃「…………」

綾奈「そ、そんなに暗い顔しないで!! ……ロミオとジュリエットもね、立場の違う人達の話だから、ちょっと重ねちゃって……」

雛乃「……貴方がジュリエットなの?」

綾奈「ジュリエットって柄じゃないのはわかってるもん。ひなちゃんもロミオって感じじゃないし?」

雛乃「そもそも私達は女同士でしょう。その時点で噛み合わないわ」