ぼんやり待つこと二、三分。
『は?』
『なに突然』
『愛してるとか、え?私を?』
『ちょ、酔ってんの?』
『待って、エイプリルフール?』
よっぽど動揺したのか、ドババババっと一気にメッセージが表示された。
『酔ってないよ』
俺が愛してると言ったのが、そんなに信用できないのか。文字だけでもわかる君の慌てぶりに、思わず画面を見ながら苦笑した。
『ひとりで生活してみて、君の大切さに気付いた。だらしなくてごめんね。いつも怒らせてごめんね。妊娠も出産も君ひとりが大変で、俺はなにも手伝えなくて、応援するとしか言えなくて、頼りなくてごめんね』
思った事をそのまま文字にすると、
『こっちこそごめん』
と、しょんぼりしたウサギのスタンプが送られてきた。
『いつも言葉がキツくてごめん。細かい事にすぐ怒ってごめん。妊娠とか入院とか色々不安で、今までいっぱい八つ当たりしてごめん。私がどんなに怒っても、いつも笑って能天気なこと言ってくれるから、甘えてた』
『わかってる。君が不安になると怒りっぽくなるの。それなのに、いつも怒らせちゃう俺が悪いし』
『多分ね、子供が生まれてからも、私いっぱいいっぱいで、色々八つ当たりしちゃうと思う。キツイこと言っちゃうと思う。でも、ちゃんと私も愛してるから』
君から愛してるなんて言葉をもらえたのは、これがはじめてかもしれない。
なんだか感動して、胸がじわりと熱くなった。


