トゲトゲの君と、グダグダの俺。


床に寝転がったまま、ポケットの中のスマホを取り出す。
するとLINEのメッセージが届いていた。

慌てて起き上がってLINEを起動させると、『来週か再来週には産まれるかもだって』という一言と、ピンクの入院着を着た大きなお腹の写真。

「わわわ!」

興奮して電話をかけようとして、寸前で思いとどまる。
入院中の君に、こんな時間に電話をかけたら、きっとまた怒られる。

『うれしい!うれしい!もうすぐだ!』

興奮したままそんなメッセージを送ると、

『あんたは能天気でいいね』

ピコン、と冷たい返事が飛んできた。

だって、君が妊娠中毒症になって、里帰り出産の予定だった地元の産院に入院して早三ヶ月。
やっと赤ちゃんに会えるのかと思ったら、嬉しくて仕方ない。

『私は不安。陣痛に耐えられるかなとか、痛いんだろうなとか、赤ちゃん無事に産んであげられるかな、とか』

元々神経質だった君は、妊娠してさらに心配性になった。はじめてのことだらけの妊娠生活に、すっかり気弱になっているんだと思う。