トゲトゲの君と、グダグダの俺。


あーあ、君に会いたいな。
そう思って床にごろりと転がると、ソファーの下に住宅情報誌が転がっているのを見つけた。

引越すために新しい部屋を探さなきゃと、とりあえず買ってみたはいいけど、ずらりと並んだ細かい文字を読むのが面倒で、まともに開いてもいなかった。

こんなんじゃ、もっとしっかりしてよって、君にまた叱られるかな。
わかってはいるけど、君がいないと途端に俺はダメになるんだ。

家にかえれば温かい食事が出てくる。
お風呂には湯がはられ、タオルも着替えも清潔な物が用意されてる。
そのひとつひとつに感謝もせずにいた、あの頃の自分を殴ってやりたい。
ひとりで生活してみてやっと、当たり前だと思っていたことがどんなに幸せだったのか気づいた。

君の小言にイラッとするのは毎日だったし、三日に一度は大きなケンカもしたけど、その原因のほとんどが俺のだらしなさだから仕方ない。

今なら素直に言えるよ。
ごめんね、俺が悪かったって。