「たまにはマサキをお母さんに任せて、トモと二人で羽伸ばすみたいな?」

「普段は4人で食事したりしてるよ。トモくんはそれも楽しいって言ってくれるし。」

アユミはトモキがいる時の様子をユキに話した。

トモキはアユミの母親に、ずいぶん大事にされているようだ。

マサキにも相当慕われているらしい。

トモキ自身もアユミの母親とマサキを大事にしているのが、ユキにも伝わってくる。

「いつもは二人で出掛けたりはしないから、今日は特別かな。」

「特別?」

「マサキも行きたいって言ったんだけど…大人ばかりのところで長い時間いたら退屈しちゃうし、マサキに合わせると早く帰らなきゃいけないでしょ?たまには友達とゆっくり話したいだろうから二人で行っておいでって、お母さんがマサキを説得してくれて。」

アユミの人柄は母親に似たのだろうか。

ふんわりした見掛けより中身はずっとしっかりしていて、相手を気遣う心の優しい所は昔から変わっていない。

「うわ…アユもお母さんも、めっちゃいい母親だ…。」

「私は普通だと思うよ。ユキちゃんもお母さんになれば同じように考えると思う。」

アユミはたいしたことなさそうにそう言うけれど、ユキは将来の自分を想像することができず肩を落とした。

「私、アユみたいなお母さんになれそうもない…。」

「なんで?」

「想像つかないもん…。確かに結婚のこと考えていこうとは言われたけど…私の気持ちが全然そこに向かってないから。」

ユキはタカヒコに言われた店舗つきの一軒家のことをアユミに話した。

アユミはユキの話を聞きながら、時々顔をしかめる。