カンナはアキラの胸に顔をうずめて、シャツをギュッと握っている。

その手が少し震えていることにアキラは気付いた。

「私は…もっとアキくんと一緒にいたいし……私のこと、好きになって欲しい…。」

「え…。」

いつもは自分の気持ちをあまり言葉にしないカンナが、初めてその胸のうちを明かしたことにアキラは戸惑った。

「私…アキくんが好き…。ちゃんと、アキくんの彼女になりたいの…。」

アキラ自身も気になっていた曖昧な二人の関係に、カンナも気付いていたのだろう。

元々、カンナのことは彼女だと思っていたわけだし、この辺でハッキリさせるべきなのかも知れない。


「…オレはカンナのこと彼女だと思ってる。」

「ホント?」

カンナが顔を上げて、潤んだ目でアキラを見つめた。

アキラにはカンナのその目が、これまで何ひとつハッキリさせずにいた自分を責めているようにも感じられた。

「付き合おうとか、ちゃんと言ってなかったもんな。でもオレは彼女でもなんでもねぇ女は抱かねぇぞ?」

「うん…。でも私は今まで、アキくんに迷惑がられたり嫌われたりするのが怖くて、私のことどう思ってるか聞けなかったんだ…。」

そんなふうにカンナが悩んでいたことを初めて知って、アキラの胸がチクリと痛んだ。