「アキ、大丈夫?もしかしてもう酔ってる?」

ようやく我に返ったアキラは、慌ててユキから目をそらした。

「いや…。」

(一気に酔いも醒めたわ!!)

あんなに会いたかったはずなのに、面と向かうとどうしていいのかわからない。

鼓動だけがやけに速く大きく身体中に響く。

アキラはその場を取り繕うように、心なしかぎこちない手つきでタバコに火をつけた。

「ユキちゃん、何飲む?」

「私もビールで。」

マナブはカウンターの中のスタッフにビールを3つ注文した。

それぞれビールを受け取り、改めてアキラの退院を祝して乾杯した。

アキラはそのままグラスを置かず、ほとんどの量を飲んでしまった。

「ペース、早くない?」

ユキが不思議そうに尋ねた。

アキラは少し落ち着こうと、それに答える代わりにタバコに口をつけた。

(誰のせいだよ、オマエだよ!!)

マナブは所在なさげなアキラの様子をニヤニヤしながら眺めている。

「そうだ、ユキちゃん腹減ってるだろ?ユキちゃんの分、取っといたんだ。」

マナブは席を立ち、カウンターの中から料理を盛り合わせた皿を持ってきて、ユキの前に置いた。

「すごい!美味しそう!!」

「オレが作ったんだ。遠慮なく食べて。」

「ありがと、すっごくお腹空いてたんだ。いただきます!」

ユキはアキラの隣でマナブの手料理を食べ始めた。

「何これ美味しい!!マナ、料理うまいんだね!」

「料理のできる旦那はいいだろ?いつでも嫁にもらってやるぞ。」

「確かに、それはいいかも…。」