Another moonlight

新しい年が明けた。

無事に手術が成功し順調に回復中のアキラは、退屈な入院生活を送っている。

アキラはベッドに横たわり、ぼんやりと窓の外を眺めた。

(ヒマだ…。ゲームもマンガも飽きた…。)

家族や友人たちが見舞いに訪れる中、ユキだけはまだ一度も顔を見せていない。

(ユキどうしてんだろ…全然来ないけど…。)

カンナに刺されてから救急車が到着するまでの間、ユキに膝枕をしてもらったことはなんとなく覚えている。

しかし交わした会話まではよく覚えていない。

(何話したんだっけなぁ…。ユキ、泣いてたような…。オレ、なんかひどいこと言ったか?だから来てくんねぇのかも…。)

あの時アキラは、朦朧として途絶えそうになる意識の中で、ユキのためなら死んでもいいと思った。

ユキの目から涙がこぼれ落ちた瞬間を、やけに鮮明に覚えている。

けれど、ユキが泣いていた理由がどうしてもわからない。

(やっぱ思い出せねぇ…。ユキを泣かすようなこと言ったかな…。)

アキラが悶々としながらため息をつくと、病室のドアをノックする音がした。

(もしかしてユキ…?)

ほんの少し期待してドアの方を見ると、ドアを開けて入って来たのは、ユキではなくマナブだった。

(だよなぁ…。今頃ユキは仕事中だし…。)

あからさまにがっかりしているアキラの様子を見たマナブはニヤッと笑った。

「残念だったな、ユキちゃんじゃなくて。せっかく来てやったのに、そんながっかりすんなよ。」

「バーカ…そんなんじゃねぇよ。」

アキラはばつが悪そうな顔をしてそっぽを向いた。

「で、調子はどうだ?」

「見ての通りだよ。ヒマでヒマでしょうがねぇ。」