2日後。

その日最後の届け先への配達を終えて配送車に戻ろうとしたアキラは、配送車のそばに人影を見つけた。

(ん…?誰かいる?)

近付いてみると、その人は顔を上げてゆっくりとアキラの方を向いた。

「よう。」

「マナ?なんでこんなとこに…。」

マナブは意地悪く笑いながら、アキラの背中を叩いた。

「誰かさんが約束すっぽかして、オレからの電話シカトすっから待ち伏せしたんじゃん。」

「あー…悪い…。」

「なんてな。偶然アキの会社の車見つけたら、後ろのネームプレートにアキの名前が書いてあったからさ。最近顔見せないけどどうしてんのかなと思って。」

「うん…。」

笑って話すマナブに対し、アキラは重苦しい表情を浮かべてうつむいた。

さすがに心配になったマナブは、真剣な顔でアキラの肩を叩いた。

「暗いな、アキ…。なんかあったのか?」

マナブはどことなく疲れて見えるアキラの様子を窺った。

(アキ、なんかやつれたか…?)

アキラは力なく首を横に振る。

「なんもねぇ…。ちょっと忙しくてな…。」

何もないとアキラは言うけれど、とてもそうには見えない。

アキラは何か言いたそうなのに、無理してそれを隠しているとマナブは思う。

「なぁアキ、今日久しぶりに店に来いよ。」

「あー……今日は無理かも…。」

「なんで?予定でもあんのか?」

「今日は、って言うか…毎日無理かも。」

目をそらして答えるアキラを怪訝に思い、マナブはアキラの背中を思いきり叩いた。

「何が無理なんだよ。そんなのおかしいだろ?無理なら無理でちゃんと理由言え。」

アキラはうつむいてため息をついた。

「わかった…。今日、なんとかして時間作って行く。」