「雨が止むまで家にあがってく?」
唐突な彼女の言葉。
「いや…あ、」
探偵として、これ以上の対象と過度に密接するのは避けるべきだ…が、ここで断るのは余りににも不自然…それに折角の好意を無下にするのは良くない。
「お、お言葉に甘えて…やむまで…」
ボクがそう答えると、重症ニキビの顔が屈託なくほほ笑む。
…へぇ…教室では、ともこに怯えている所為か何処となく挙動不審でおどおどした感じが不愉快で近寄りがたい感じがしたがそういう顔も出来るのか…。
ボクの中でなおの事、彼女が友彦や殿城の件に関わってるなんて考えが勉の妄想でしかないと思えてならない。
「こっちだよ」
「失礼します…」
パチンと廊下の電気をつける彼女の丸くてふとましい背中について、ボクは新しい木の匂いのする薄暗い中を歩く。
家の中は外観のボロさからは想像できないくらい綺麗だ…きっとリホームをしたのだろう。
ガラッツ。
「こっちが、台所…寒いでしょ? お茶をいれるね」
「あ、ありがとう…」
彼女に言われるまま、ボクはよくある四人掛けの食卓テーブルの椅子を引いて座る。
