「あ、雨…」
彼女は慌てて鍵を開け、サッシの戸を引く。
「取り敢えず入って、濡れちゃうから…」
「え? ぁ、ああ…」
サッシの向こうの真っ暗な空間。
ボクは一瞬たじろいだが、激しい雨に後押されて中に足を踏み入れた。
ぱちっ。
「すごい雨だね…」
当然と言えば当然に、彼女は玄関の電気のスイッチを入れた。
ボクは思わず玄関を見渡したが、これと言って変わったところはない…強いて言えば恐らくリホームでもしていたのか外観のぼろ家っぷりとは違い内装は新しいような雰囲気を受ける。
「ああ…やみそうにないね…月島さん?」
「ぇ?! あ、そうだな! いやー参ったよ~」
あたりを観察してたボクは、不意に話しかけられ思わず声が上ずったのを感じた!
「…? 大丈夫?」
「へ? 何が? ボクがかい? 全然大丈夫さ!」
明らかに挙動がおかしい、自分でも分かってる…はぁ…この場にケントやミカがいなくて良かったよ…見られていたら一生の恥だ!
「月島さん」
「は、はい?」
また声が、今日は絶不調だな!
