「…いや、もういいよ、次から気をつけてくれれば…ボクはたまたまこの近くに用事があったんだけど、君の家はこの近くだっけ?」
ボクは、かなり白々しく彼女に問う。
勉の家こそ今日把握したが、探偵たるもの受けた案件の対象の家の位置くらいマッピング済みだ。
「…うん、私の家はあの角を曲がったところ…」
グローブのように肉厚の手から生えた太い指が突き当りを左に指さす…ん?
「なんだ? 血が出てるぞ?」
彼女の指、痛々しく絆創膏が赤く染まって先から血が滴る。
「あ、うん…ちょっとね」
そう言って、慌てて引っ込められた手はよく見れば絆創膏だらけだしもう片方の手だって手首には包帯が巻かれて痛々しい。
ともこ達にやられたのか?
いや、あのあくどい奴がこんな見えるところに傷をつけるとは考えにくい…。
なんて、一瞬考えを巡らせたがボクはすぐに切り替える。
今は、彼女の虐めの件はどうでもいい…まずは勉の妄想を止めてやらなくちゃ…そのためにも…。
「なんだい? よく見たら結構な怪我じゃないか! …もうこんなに暗くなってきたしボクが家まで送ろう!」
