「さ、この椅子に座って♪」
「ぁ、おう…」
俺は、ゴキブリに手を引かれるまま椅子に座らされる。
ずきっ。
…ぁっ…不味い足がクソ痛ぇ…本格的に痛み止めが切れてきたらしい…薬はズボンのポケットにある…水、水もらえないかなぁ…?
ぎしっ。
ゴキブリは、俺の座るダイニングテーブルをはさんだ正面の椅子にすわる。
「…ところで友彦君、今日は私に何か用?」
学校とはまるで別人のような明るい声で聞きながらゴキブリは、テーブルの中央に置かれた丸い木の菓子箱を開けて俺の前に押す。
「ぁ、うん、俺、お前に謝らなきゃ…て思って…」
「え?」
俺の言葉にゴキブリはカクンと首をかしげる。
「ぃや…今までさ、お前が虐められてる知ってて無視してごめん」
カクン。
「…助けてくれたのにちゃんとお礼も言えてなくてごめん」
カクン。
「…足を折った時、助けてくれてありがとう…」
カクン。
俺は首をかしげるばかりのゴキブリに、誠心誠意に謝罪と感謝を伝えるけどなんだか伝わってないっぽい!
無理もないか…いきなりだもんな…。
