トモダチつくろう

 「一人で…作ったのか…?」
 「うん! これで!」

 ゴキブリは、そう言って木の板の山から突き出していた棒のようなものを引き抜く。

 ざりっ!
   びよぉぉぉぉん…。

 っと、間抜けな音を立ててそれは姿を現した。

 「のこぎり…? でっけーな…」

 「…慣れるまで時間がかかっちゃったけど、コレよく切れるんだ~♪」

 よく笑い。
 よく笑う。
 よく通る可愛い声。

 学校でなんて絶対にみられないこんな…元気のいい…まるで普通の女子みたいなゴキブリ。

 本当のお前ってこんな感じなんだな…知らなかった…。

 「あ、立ちっぱなしでごめんね! こっちこっち♪」
 
 「ああ…ぁ、杖…」

 上がろうとした俺は、杖の先が泥で汚れていることにきがついた…そう言えばここに来る途中に昨日降った雨にで出来たぬかるみをうっかりまたいでしまった事を思い出す。

 「…そうだね…嫌じゃ無ければそこの傘立てにたてて…私が台所の椅子まで連れて行ってあげる…」

 ゴキブリは、おずおすとその豆だらけの手を俺に伸ばす。

 手を取れって事か…。

 俺は、自分でも驚くほどすんなりとその手を取った。