ゴキブリに言われて、俺は痛み止めが切れかかっていた事を思い出してギプスの中がじんとした。
「ああ…おじゃまします…」
「どうぞ」
ゴキブリが、ポケットからカギを取りだし戸をあけ『ドア、支えるから先に入って』とうながされるまま俺は松葉杖をついて中に入る。
え?
入った玄関先。
そこには無数の木の板が、無造作に置かれて松葉杖が引っかかるくらいに狭い!
「上がって、上がって、今玄関が狭いの!」
「え? おお?」
ゴキブリにせかされて、俺は玄関をなんとか上がる。
「ごめんね! いまうちの廊下を直しているの!」
ゴキブリが言う。
言われてみれば、ゴキブリの家の廊下は綺麗に板が貼られているが靴下の裏からの感触はどことなくけば立っているような気がする。
「まだ、フローリングニスを塗って無くて…へんな感じするでしょ?」
ゴキブリはすまなそうに笑う。
「…もしかして、家の手伝ってコレ?」
「うん! この家もう何年も手入れして無くて廊下もシロアリだらけだったから少しずつだけど直してるの!」
ちょ、え? コレ、お前が直してるの??
