「友彦君?」
ゴキブリの家の前でなかなかチャイムを鳴らせずにいる俺の背後から可愛い声。
「どうしたの? うちの前で…?」
「ぇ、いや…ぁ…!?」
振り向いた俺は言葉をつまらせる…それはゴキブリの背後。
背の高い大人の男人?
何故『?』なのかと言うと、その人は顔面に包帯をぐるぐる巻いていて顔が分からない…けど黒のコックっぽい服に体格はひょろいけど俺の親父よりも背も高い。
ゴキブリのお父さん…なのか?
もぞり。
包帯の口元が動く…沈みかけた夕日に影が出来てまるでホラーに出てくる怪物のようで普通に怖い。
「…うん、ありがとう…またね」
ゴキブリがそう言うと、その包帯グルグル男はくるりと背を向けて歩き去っていく。
「…あれ、誰?」
「『包帯さん』だよ」
「は? なにそれ?」
「包帯さんは包帯さんだよ…それよりもどうしたの?」
ゴキブリに聞かれて俺は口ごもる…そうだ、今はそれどころじゃなかった!
「…ぁ、いや…俺…」
「あがって」
「ぇ?」
「立ち話じゃ、足つらいでしょう? ウチにおいでよ」
