トモダチつくろう

「ここ…?」

 スマホ片手に俺は息をつく。
 
 目の前には古びた平屋。

 地図のとおりならここが多分、ゴキブリの家…で、隣のアパートが殿城の家かな…?

 殿城のいなくなったアパートは、夕日に照らされて心なしか寂し気に影を作る。

 「殿城…」

 俺は気を取り直して、その隣の平屋に目をやった。

 ここがゴキブリの家…夕日を浴びているせいなのか古ぼけた感じが際立ってまるでお化け屋敷のようではっきり言って不気味だ。

 「…ビビってる場合じゃねぇ…」

 ここに来た目的。
 
 それは、ゴキブリに謝る事。

 ちゃんと礼をいう事。

 そして、今までの事を許してくれるなら友達とまでは行かなくても…近いくらいにはなりたいと思ったから…。

 それなら明日にでも学校で言えばと思ったが、今日は金曜日。

 今日を逃せば土日と休みを挟んでしまう…情けない話、俺は弱い…もし休みでも挟んでしまったらこの決意も揺らいでしまうかもしれない…いいや揺らぐ。

 そう思ったから。

 「迷惑だろうな…」

 家まで押し掛けるなんて、こんなの俺の都合でしかないからな。