出てった。
ゴキブリが出てった。
机隠されたのに…なのに怒られた?
なのに誰も何も言わないで授業は進んでく…?
「友彦! 何してんだよ? 座れよ…」
立ち尽くす俺に、勉が言う。
ああ…そうだな…それがこのクラスでは当たり前だ。
ガタン。
「え、ぉい?」
席になどつかずいきなり歩き出した俺に、勉が慌てその様子にクラスがざわめく。
「せんせ~俺足がマジでクソ痛いんで保健室いっていっすか~? つーか行きますね~?」
すみ子先生の返答なんてきかずに、俺は出来るだけさっさと教室を出ようとした。
「友彦くん、一人で大丈夫? あたしが連れてってあげるよ!」
ともこが立ちふさがる。
誰もが認める可愛い顔。
それが、にっこり微笑んで手を差し伸べる。
その笑顔は、有無を言わせない…けど。
「…大丈夫、自分で行くからお前はちゃんと授業うけろって」
俺は、その手を避けそばをひょこひょこすり抜け出て行く。
がらっ、ぱたん。
背後で教室の戸が閉まった。
はは、やっちまったよ。
ともこに逆らってやった。
