「学校案内してよ!」

 放課後その子が言った。

 「…」

 「なんで? やなの?」

 「……」

 なんで私に言うんだろ?

 早く学校から出たいのに。

 こんなに汚くてクサイのに、気持ち悪くないのかな?

 「殿城さん」

 ぽんぽんって、肩を叩いて呼ぶ声に私は目をそらして下を向く。


 「アタシらが案内するよ…そいつは…ちょっと…ねぇ?」

 コワイ!
  コワイ!
 ごめんなさい! 
   ごめんなさい!!

 「だれ? アンタ?」

 「山下ともこ、委員長やってるの。 よろしくね殿城さん」



 きれいな声。

 人気者で。

 クラスで一番かわいくて。

 テストもいつも一番で委員長のともこちゃん。


 「ほら、こんなのに構ってたら仲間だと思われるよ? 一緒に行こ?」


 ともこちゃんは、きっと可愛い顔でにっこり笑ってる。

 くすくすくすくす周りのみんなんも笑ってる。

 ともこちゃんの言う事はこのクラスでは絶対なの。

 『可愛いは正義』

 ともこちゃんは言う。

 だから、きっと、わたしにみたいなニキビでぶはきっと化け物ね。