トモダチつくろう

 例えるならここは鶏小屋。

 狭い檻の中で一日の大半を過ごす鶏は、ストレスを群れの中で一番弱い個体に向けて発散する。

 弱い個体がいなくなれば次に弱い個体へと連鎖していく。

 一時的にその対象は殿城へと移ったが、行方知らずになった事でその役目は本来の人物へと戻される事だろう。

 少し可哀そうにも思うが、殿城みたく巻き込まれるのはごめんだからな…。

 ま、俺はいつのと変わらず何もせず当たり障りなく傍観するとしようじゃないか。

 うろちょろしていた勉が戻ってきて、そこらへんで集めた殿城のある事無い事のはっきりしない噂を俺にこそこそ報告する。

 「女子から聞いたんだけどさ、殿城の奴あのゴキブリと友達やめるってさわいでたらしいぜ?」

 「そりゃそうだろ? あんなにやられりゃ…」

 「でさ、殿城がいなくなったのってあのゴキブリの所為じゃないかって話!」


 くだらねぇ…取り敢えずスルーしておく。


 さーって。

 もうすぐ一時間目の終わりだ。

 次の授業は体育なんだが…まさかこれも自習とかにならないよな?

 今日はバスケなんだマジで楽しみにしてんだからな!