「あいつマジでキメェよな!」
俺のすぐ隣の席の勉が、アイツに聞こえるように大声で言った。
「なぁ? 友彦も思わねぇ? あのニキビ絶対顔とか洗ってないだろって感じだよな~」
お前もニキビ面じゃねーか?
と、思わず突っ込みくれたくなったが面倒くさいのでやめた。
「…先生だ、席つけよ勉」
「おおマジ?」
ガラッと教室の戸が開いて、担任が…と思いきや入ってきたのはハゲの教頭だ。
先生はどうしたんだろう?
「あ~みんな席につきなさい」
剥げ散らかした頭から噴き出す汗をふきふきする教頭の顔色は何処かくらい…何かあったのか?
クラスの皆もその微妙な空気を感じて、いつもよりささっと席に着く。
「ぁ~はい…みなさんにお知らせがあります…」
教頭は、吹き出す汗を拭き続けながら大きく息を吸った。
「皆さんのクラスの『殿城ゆう』さんが、土曜日からお家に帰っていません。 今、警察の方があちこち探していますが誰か心当たりのある人はいませんか? どんな些細なことでも構いません」
教頭の言葉に教室がどよめく!