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 わたくしは、その背を押しただけでございます。


 俯くわたくしの作品は、呼吸を止めた少女を見つめその頬に触れまるで人形のように制止しております。


 やはり、最後の最後で貴女は_____。


 「ふふふ……」


 おや?

 
 「かわいい……ともこちゃん」

 貴女は、わたくしをみあげてほほ笑みます。

 「これでやっと完成するよ! 私のトモダチ!」


 その幸福に満ちた瞳はもう幸福意外なにもうつしません。


 はしゃぐ貴女はわたくしの脇を横切りバスルームを抜けると、何処からかしなるノコギリを持ち出し少女の首にあてがいました。


 哀れな貴女。

 あの日、雨の中で出会った孤独な少女。

 暗い暗いその小さな瞳は、かつて失った孤独の青と重なりわたくしの胸を焦がし貫きました。 


 貴女が欲しい。 

 貴女を幸せにして差し上げたい。


 貴女を取り巻く環境とその不運を知れば知るほど、こみ上げるこの思いをわたくしは止めることが出来ませんでした。


 胴。

 腕。

 脚。

 
 貴女は理想のパーツを集め、トモダチを作ります。
 


 幸せになるために。


 
 だからこそ、わたくしはその少女の事が気がかりでした。


 貴女に孤独と悲しみを与えたその少女が、貴女を許してしまう事が、貴女を暗闇から連れ出してしまう事が。

 
 しかし、わたくしの懸念は杞憂に終わったようです。


 数時間かけて、貴女は少女の首を切り離し血まみれの顔をシャワーで流しタオルで拭き抱きしめました。


 その顔は満ち足りて、抱きしめた顔の額にキスをする。


 ああ、なんと美しい。


 友子。

 友子。


 ああ、やはり貴女はわたくし最高傑作だ。