「友子になに______ひゅっ、ケホッツ! ヒュッユ!?」
息が出来ない。
ナニこれ?
苦しぃ……!
胸を刺された……だから苦しい?
もう座ってもいられなくて、アタシは友子の上からタイルの床に倒れ込む。
「肺に穴が開いたのでしょう」
開け放たれた風呂場の戸の縁に立ちこちらを見下す包帯男の口元がモゾリと蠢きカツンと足を踏み出す。
「今、貴女の肺には血液が流れ込み徐々に圧迫されやがて呼吸が出来なくなるでしょう」
優しいテノールが、泣きじゃくる友子を介抱しながら言う。
「はっ、かふっ……? 息? けほっ! けほっ!」
息が出来ない。
何度大きく息をしても、全然息が吸えない……けほっ。
息が。
息が。
くるしぃ。
「おまえっ、ともこ ない したっ けほっ! カハッ!」
包帯男の手が、鼻血と涙でべたべたの友子の顔を愛おしいそうに拭く。
大きく息を吸った。
血の味と、臭いがした。
目の前が真っ暗になった。
