ガタン!
え?
ひときは大きな音がして、台所に引っ込もうとしたアタシは動きを止める。
こんなに何度も音がするなんて……もしかして、お爺ちゃんかお婆ちゃんが倒れたりとかしてる?
アタシは、心配になって廊下に出て部屋の襖に手をかけ____ぽん。
「ともこちゃん」
肩に乗る湿った冷たい手。
「ぁ、ごめんなさい……」
ビクッと跳ねたアタシの肩に乗った手が、すまなそうに引っ込む。
「だ、大丈夫、いきなりだったからちょっとびっくりしただけ」
そう言うと、アンタはほっとしたような顔をする。
こんな会話すら怯えさせてしまうなんて物凄く罪悪感に駆られるけど、今はそれどころじゃない。
「ねぇ、この部屋誰かいる? さっきから物音がすんだけど? お爺ちゃん?」
「え?」
「なんか、誰か倒れるみたいな……家具が倒れるみたいな感じなんだけど」
「いないよ」
それは、今までにないくらいのはっきりとした声。
「けど」
「いないよ」
顔を覆う長い前髪の隙間からアタシを見上げる目は、まるで人形のようにぽっかりとまるで感情がのっていない。
