怒りもせず冷静に水を止めたアンタは、アタシの握りしめていた浮きとゴム栓のついたボールチェーンを受け取ると『掃除するから台所で休んでて』と言う。
「ぁ」
アタシは、ポケットに入れたスマホも渡そうとしたけど掃除道具を取りに行くのかその丸い背中はどすどすと風呂場の戸を開けて素早く締めてしまった。
後で言うかな……。
風呂場の方でガタガタとする音を背に、アタシは台所へ戻って椅子に座って冷えた紅茶を一口。
「……やっぱ、変だよね……?」
しんとする台所でアタシはポケットからスマホを取り出してあらためて思う。
普通に考えてトイレのタンクからなんて、誰かか意図的に沈めておかなきゃ無理だしちゃんとビニールに入っていたしあの赤い方のビニールは明らかに誰かに見つけて貰うための仕掛けだ。
誰か?
あの子が?
自分の家で??
アタシは、もう一度スマホの画面をタップしてRINEの画面を開く。
このトークは間違いなく石川だ。
けど誰に?
このスマホは……誰のモノ?
ガタン!
