ぽたっ。
「おや? 雨のようですね…」
コンクリートにしみこむ雨の粒を見ていた私の目にすっと、手が差し出される。
でも、その手は指の先まで包帯が巻かれていて…。
「わたくし、この近くでカフェを営んでおりまして…もし宜しければ雨が止むまでいかがですか?」
「…私…おかね…」
「いいえ、本日お代は結構でございます」
そう言ったその顔は、表情も分からないくらい包帯でグルグル巻き…。
怖い。
ついたり消えたりする街灯に照らされる包帯にすっぽり巻かれた顔は、まるでこの前ゆうちゃんとみた映画にでてくるゾンビみたい…。
きっと、今日の朝までの私なら悲鳴をあげて逃げていたかもしれない…けれど…。
気が付いたら私は、差し出された包帯の手を掴んでいた。
カランカラン…。
『どうぞ』と言われて入ったソコは、薄暗いけどなんだかとってもいい匂いがする…。
「今、明かりをつけますのでお待ちを」
パチッっと、音がしてオレンジのキノコの形をした擦りガラスのランプがぼんやりとお店の中を照らす。
