「今日は……かえりたいく……ない」
身勝手なアタシの答えは前と同じ。
そんなアタシを、アンタに酷いことしたアタシの言葉にぎこちなく笑って家に入れてくれた。
真っ暗な玄関先。
すぐに灯りをつけてくれたけど、その家の中はしんとまるで人の気配を感じない。
「家、だれもいないの?」
「うん」
アタシの背をむける声は、さも当然と答える。
「今日は誰かいないの? お母さんは?」
「今ね、ここには私だけがすんでるの」
え?
「それって……?」
「さ、あがって……嫌じゃなかったら晩御飯も食べていく? 昨日、カレーを作ってみたんだけど一人じゃ食べるのが大変なの」
そう言われて、やっとアタシはこの家に充満するカレーのスパイスの匂いに気が付く。
「カレー……うん、たべる」
「わかった準備するね」
台所に通されたアタシは、テーブルで待っているように言われたので大人しく腰かける。
……本当に誰もいない。
冗談かと思ったけど、本当に家に一人で暮らしてるのかな?
