「許せないって気持ちは当事者じゃねぇ俺にはどんなもんか知らないし、この場合は許してやれよって言うのもおかしいが、もういいだろ? あの子には、はじめから関係ない事じゃないか」
「……!」
「まぁ、分かっているとは思うがせいぜいその阿保な頭でよく考えろ」
それだけ言い残すと、青沼さんは薄暗くなった廊下を足早に歩いて行った。
「わかっているよ…そんな事…」
アタシは誰もいない教室で一人で泣く。
言われなくてもそんな事は分かっていた。
あの子はアイツじゃない。
けれど、どうしてもアタシが駄目だった。
だから、無視した。
近寄って欲しくなくて文句を言った。
それをクラスの皆が真似するなんて、それが『虐め』だなんて認識して無かった。
おどおどして蚊の鳴くような小さな声で喋るニキビだらけの脂肪の塊。
前からあんなんだっけ?
ううん……アタシの記憶のあの子はいつも笑顔で優しい子。
「アタシ…アタシが…?」
アタシは膨れた目をぬぐって、教室を出る。
アンタの事が駄目なのはアタシだけ、これはアタシの問題だったはずなのに……。
「あやまらなきゃ…」
アタシは、いつもの帰り道とは反対の裏門から学校を後にした。
