「けど、まぁ……」
泣き出したアタシを目の当たりにした青沼さんは、がじがじと頭を掻きながら面倒くさそうにため息をつく。
「はっきり言って、自覚もくそもないのは頂けないがお前がどういう認識だったかはよく分かった」
「ぐすっ?」
「虐めうんぬんは、学校側が対処しないなら被害者から警察に届け出て貰わない限りどうしようもないから今は置いておく。 その上でお前の『包帯男』の件、もう少し調べてやるよ」
「え?」
呆気にとられるアタシに青沼さんは続ける。
「お前は、自分の都合で他人を貶める事については何にも感じない阿呆だが、少なくとも親の気を引くためにこんなバカげた嘘はつかないとそう俺は判断した」
「そ、それっ……」
「勘違いすんなよ? 俺はお前みたいな阿保は嫌いだ、けどこれも仕事なもんでな」
青沼さんは、そう言うと黒い革の手帳をよれよれのコートのポケットから取り出して何かを記入しながらくるりと背を向け教室を出て行こうとする。
「あ、そうだ」
立ち止まった青沼さんが振り向く。
