夕闇が迫るアスファルトをアタシは小走りに家路を急ぐ。
あの後。
叫び声を聞きつけて部屋に駆け付けた石川のお母さんのお蔭で、アタシはなんとか石川の手を逃れる事が出来た。
ったく、ついてない!
アタシは、手首にくっきり残る石川の手の痕を見てげんなりとする。
「キモっ…痣になったらどうしよう…」
指の形まで鮮明な痕は、まるでどっかのホラー映画にでも出てきそうだ。
「マジで覚えとけよ…!」
ふつふつと湧き上がる怒り…でも、今はそれどころじゃない!
いくらピアノ教室が休校だからって、あの家にながいし過ぎた。
とっぷり暮れようとする夕日に、カテキョの時間が迫ってさらに足を速く動かすけどこれ以上は無理!
「はぁ、はぁ…なんでこんな目に~…」
コレはもうカテキョの先生を少し待たせることになると腹を括って、アタシは電柱の所で一休みと手をつく。
「あーもぉ~…」
石川、あいつ絶対ヤバいって~!
そりゃ、友達が二人も行方不明じゃ仕方ないっちゃ仕方ないかもしれないけどって…無理ぃ~!
