「すまんな、山下…」
「いいえ、これも委員長の仕事ですし…アタシも石川さんの事が心配ですから」
アタシは、高島先生から渡された封筒に入ったプリントの束を自分のトートバッグに入れた。
「あんな事続きだ、こんなことを頼んでおいてなんだがくれぐれも帰り道には気を付けるように」
高島先生はそれだけ言い残すと、いつものジャージ姿とは違うカッチリとしたスーツの背中を向けて足早に廊下を歩き去っていく。
『あんな事』
その言葉にアタシは少し身震いする。
あんな事とは、このところ頻発している小学生失踪事件の事でありアタシのいるこのクラスこそその事件の舞台だった。
『だった』というのは、今回ついに隣のクラスにも行方不明者が出たからだ。
「…なんで休校となになんないんだろ…?」
もう、ウチのクラスからは殿城ゆう・月島友華・仲吉友彦・友近勉の四人がいなくなっているし隣のクラスのハーフの子とか…5人!
5人だよ?!
5人もいなくなってるのに学校来いとか酷くない?!
しかも、こんな物騒な時に休んでる奴の家までプリント届けろとかばっかじゃねーの?!