思わず睨んだボクの眼光が、小さな目に映って歪む。
「月島さんの脚…きれい」
「は?」
不意に聞いた口は、もはや会話を成り立たせようとしていない。
微笑む彼女。
あぁ…恐らくもうまともではないのだ。
ならば、そんな相手に怒っても仕方がない…今は一刻も早く情報が欲しい…!
「…どうすれば教えてくれる? 教えてくれるならボクは君の望む通りにしよう…」
「ほんと? なんでもいいの?」
その言葉に、がらんどうの瞳に光が戻り嬉しそうに声が躍る。
「ああ…ボクに出来る事なら…」
席を立ち、もじもじしながらテーブルの向こうからこちらに回り込んだ彼女ははにかみながら俯く。
嬉しそうに。
照れくさそうに。
小さなコドモのように。
すっと、その太い指をそこにむける。
「ちょうだい」
?
「脚」
?
「やっぱり勉くんじゃあの子のイメージに合わなかったの」
なんだ?
何を言っている?
「今日は電話かかってこなんだね?」
そう言われて、ボクは思い出す。
