「…急に訪ねてすまない…ボクらは君にどうしても聞きたいことがあるんだ」
「…聞きたい事?」
彼女はカクンと首をかしげる。
その姿に、ボクの胸が締め付けられるような息苦しさを感じ思わず目を背けてしまう。
「…いいよ、上がって」
「え?」
「私に話があるんでしょう? もう辺りも暗くなるし、蚊にさされるよ?」
「ぁ…ソレじゃ、お邪魔する…」
ボクは背後のケントをちらりとみる。
するとケントは、『マジか? どうする?』っとそんな目をして顔をしかめた。
「もちろん、ローズウッド君も上がって? 嫌じゃ無ければだけど…」
相変わらず、顔に掛かった長い髪の所為で彼女の細かな表情何て読み取れないが声の調子からしてケントまでついて来たことを怒ってはいないと推測できるだろう。
ガラガラ…。
「どうぞ」
そう、言ってスライドした戸の向こうは真っ暗だ。
「あ、ごめんね! 電気つけるね!」
きっとたじろいだボクらの事を気遣って彼女が、パチン、パチンと玄関と廊下の電気をつける。
