「分かった、それでお前の期が済むなら一緒に行こう…彼女は気を悪くするかもしれないけどな」
「奴の気なんぞ知るか! 兎に角一人は駄目だ、お前は自分が思ってるよりも結構やらかすタイプなんだから自覚しろ…」
本人を目の前にこうもはっきり言うか!
失礼な奴だな!
…いや、だから有難いのだ。
ボクに向かってこんなにもはっきりと物を言う者などケントやミカ以外いない。
父も母も使用人たちもボクにはまるで腫れもの扱うようによそよそしい…それはきっと、仕事で長期間家を空けるうしろめたさからなのかもしれないが…孤独だった。
だから彼女にも、ボクとは違う孤独をもつ彼女にも…。
「どうした?」
「いや、彼女の家に行く前に自宅に寄りたい」
「ああ、準備は大事だもんな…いいんじゃね? つか、なんか取に行くのか?」
「ふっ…分かってないなケント、こんな時は身なりを整えるのが常識だろう?」
「?」
今日は、大切な友人の家を訪ねるのだから。
