トモダチつくろう


 「そう思うか?」

 ケントはじっとボクを見る。


 「お前は、そう思っているのか?」


 ケントは頷く。


 「少なくとも勉は奴に会いに行っていなくなった」

 「…」

 「状況証拠、勉の失踪…疑う余地はあるだろう?」

 「…」

 「ダチだから見逃すとかないよな? お前はそんな奴じゃない」


 トモダチ。

 トモダチ。

 ボクのトモダチ…。


 「…ああ…その通りだ、ボクは彼女の友人として疑いを晴らすために全力をつくす!」

 ボクの言葉にケントが呆れたようにため息とついて、フッと笑う。

 「はは…それでこそ、ゆっぽんだ」

 それは、いつもの見慣れた笑顔のはずなのになぜだ…妙な気持になる。

 ボクは胸が熱くなるような苦しいようなおかしな感情を押し殺し、目の前の問題に集中する事にした。

 「今日、彼女の家を訪ねる」

 「そうか、俺も行く…ミカは今日ピアノらしいから二人で行こう」

 「いや、ボク一人で____」

 「駄目だ、何かあたらどうする!」

 ケントの手がボクの腕を掴む。
 
 食い込む指が痛い…それだけ彼女を疑っていると言う事か…。