その日は随分と平凡で当たり障りない一日だった。
勉がいなくなったと言う事を除けば、実に単純なルーチンワークだ。
ボクも彼女もいつもと変わらない一日を送った。
相変わらすの扱いも、彼女にとっては日常で、それを傍観するのもボクの日常。
そして、彼女はとぼとぼ教室をでて家路につくのだ、
放課後の隣のクラス。
「ケント」
ガランと間の抜けた教室の窓際の席に、今や学年最高の長身の持ち主となったケントが机に肘をつきじっとボクを見返す。
「勉がいなくなったって?」
「ああ、らしいね」
ため息は『それだけかよ?』と言いたげにボクを見る。
「ケント…まだ彼女を疑うか?」
ボクの問いに、ケントはため息をもう一度。
「なんでお前は疑わないんだよ?」
「彼女にはそうする理由が無い」
「それはダチとしてそう思うのか?」
「いいや、調べた状況証拠と彼女の人柄からの確信だ」
「へぇ、それを聞いて安心したぜ」
ケントはそう言うと、机の中ならノートを取り出し座ったままボクに突き出した。
