「ミカ…それは余りにも逃避し過ぎだぞ?」
肩をすくめるボクおミカがじっと見上げる。
「ゆっぽん、放課後。 けんちーのとこ行って」
「え?」
「多分最後に勉に会ったのけんちーなの」
「何だと?」
「昨日の放課後、けんちー勉に会ったんだって、それでね怒ってたんだよ…ゆっぽんがあの子と友達して自分の言った事なんか全然守ってないんだって」
バレた。
…勉がもう少し落ち着いて、完全に彼女の疑いを晴らす根拠を確認したら刺激しない様にゆっくりと進めていきたかったのに…。
「けんちーさ…」
「? なんだ?」
キーンコーン
カーンコーン
チャイムがなると同時に教室の戸が開き、担任のすみ子先生がいつにも増して死人のような顔を青ざめさせて入ってきた。
「さ、授業が始まる…放課後だな? わかった」
「あ、うん…」
ミカは自分の席へ戻る途中、彼女の席の横を通過する…睨む目。
それは、普段ボクに向けるのとは違う明らかに侮蔑を込めた目。
ミカがあんな目をするなんて。
