「…私あの子の為ならなんでもしようと思うし一緒に居ればこうやって変わっていける気がするの!」
彼女は、今までにないくらいほほ笑む。
「そうか…それは良い友人だね…」
「うん…とても…だって…あの子は私の傑作になれるもの」
え?
「可愛い胴をみつけた、腕も見つけた、まだ足りないけれど、あの子にふさわしい脚も…」
んん?
「着せてあげるドレスももう少しで仕上がる…」
彼女の恍惚とした顔になんだか嫌な予感がする…まさか、『トモダチ』とは人じゃない?
胴・腕・脚…ドレス…。
それらの言葉からボクの脳裏に浮かんだのは叔母の家にあるアンティークのビスクドールだ。
ビスクドールとは、陶器などを材料にした関節なども人並みに稼動する精巧な着せ替え人形のようなものだったと記憶している。
ああ…もしかしなくても彼女の言うその『トモダチ』とはその類の人形である可能性が高…いや…そうだろうな…。
何という事だ…彼女は現実から逃避するためにその年で人形遊びをしているのか?
それもかなり重症とみた。
