トモダチつくろう

 「ええ…と、今日はどうしたのかな?」

 長い沈黙をやぶったのは、彼女だった。

 「ぇ…あ、それは…」

 ボクは思わず言葉を詰まらせる…なんと説明すればいいのか『やぁ! 君、殿城と友彦に何かしたかい?』とか聞けるはずもない。

 苦し紛れとは言え、ボクは彼女に自分からトモダチになろうと言ったのだ…『疑っている』など口にできない…!


 「無理しなくていいんだよ? 私をかまったら月島さんクラスで無視されちゃうよ? …ゆうちゃんや友彦君みたいに…」

 「?!」

 ボクは一瞬呼吸をするのを忘れた…だって、まさか彼女の口からあの二人の名前が出るなんて!

 「月島さんも同じクラスなんだから私があそこで…その…あまりよくない立場なの分かるでしょ?」

彼女は、はっきりとした口調でそう言って俯く…彼女は理解していたのか…自分の立場を…分かった上でソレに流されているのか…!

 「ボクには君が何を考えているのかわからないな…」

 「え?」

 「だってそうだろう? ボクは君がこんなにしゃべれるなんて、こんなにお茶を入れるのが上手いなんて、あんなに服を縫うのが得意だなんて知らなかった」