窓にすがりつく私を見て彩月は
「どうしたの?バス酔いした?」
と背中をさすってくれる。
バス酔いしやすいタイプだけど今は…
『違うよ……』
この道絶対おかしい、早く帰りたい、このバス危ないよ!
っと思ったことや不満を全て打ち明けると彩月は
「なーんだ。そんなことか!
本気で救急車呼ばないとヤバい?って思ったよ。」
と笑った。
この子、他人事だと思ってる!!
私本気で……
「初めてこのバスに乗った人はみんなそう言うよ。怖い、もう無理って。」
彩月は昔のことを思い出すように天井を見上げると言った。
もしかして彩月も最初は私と一緒で不安で不安で仕方なかったのかもしれない。
それでも怖がらずに頑張ったから今ここにいるんだ。
誰だって最初は怖いに決まってる、
初めての道、初めての場所
それなのに私、自分だけなんでこんな目にって…バカみたい。
『…ごめん。』
「うん?急にどうしたの?
まぁ、心配しなくても大丈夫だって、ここは正確な通学路だから!
これから一緒に頑張ろうね!!」
彩月はそう言うと私に笑顔でピースサインをした。


