許せない、だけど何も出来ない。

 逃げ出したくても前に進めない彼女の取れる方法なんて限られている。

 停滞だ、どこにも歩き出せないから。

 だけど、毒々しい感情は心に穴をあけ、彼女の心に巣食う。

 瞳に光を宿すことすら許さないそれは、こんなにも彼女の人生を縮める。

 僕は、そんな彼女を止められず見ているだけしかできない。

 全てを知っていてなお、何も出来ないからせめて見守ることで義務を果たした気になっている。

 そこまでわかっていても、僕は所詮他人。

 当事者でないそれでも見捨てられない僕は、結局傍観者の位置に落ち着いていた。