どれだけ少女を傷つけても、幹斗は戻ってこない。

 それに麻奈が気づいた時、彼女がどうなってしまうか考えるのが恐ろしい。

 少女がこのまま永遠に目覚めない時、麻奈がどうなるか想像するのが恐ろしい。

 結局何も出来ない僕は、今日もこの病室に通う。

 殺意を育てる麻奈と、偽善を振りかざす琳子と病室に通う。

 静かな憎しみと言う毒が満ちるこの病室の扉を、今日も僕は開く。