「そんなこと言ってねーだろ」 いきなり腕を掴まれた。 「なんですか?」 「そんなしんどそうな顔をしてるやつ ほっとけるわけねーじゃん」 大高慎翔は、真剣な目で私を見つめる。 「べつに、しんどそうな顔なんて してません」 私は、視線を外す。 「なら、ちゃんと目見て言えよ」 その言葉に、なにも言えない。 初めてだから。 こうして私を気にかけてくれる人は。 「お前、クラスの女に 陰口叩かれてたろ?」 「…だったらなんですか?」